宿直草巻4目録 御伽物語
ねこまたといふ事
いのししを、のた待ちという狩りで楽しんでいた男がいた。
ある晩、のた待ちをしていると、母親の声で自分の名前を読んでいる。
しかし、こんな山奥まで母親が来るわけがないと、確かめる意味でも射ると、逃げていく声も母親の声だった。
心配になり、血の後を追っていくと自分の村、そして自分の家へと続いていた。
しかし、母親は無傷で生きていたので、いきさつを話す。
そして家の中を探すと、母親が可愛がっていた猫が死んでいた。
親が生きている時は遠くに出かけては駄目であり、必ず自分の行き先を伝えておくべきと言われている。
もし母親だったら顔向けも出来ないだろう。
猫又:猫が歳をとると化けて人に害をなすと言われている。
第二 年へしねこはばくる事
第三 をくりおほかみといふ事
狼の習性として、人の後から付いてきて、最後には食うという。
それれ、送り狼という言葉がある。
昔、ある男には隣の村に隠し妻がいた。
月の夜に隣の村へ歩いていると、苦しそうな狼がいる。
助けようと試みると、口の中には子供の骨が引っかかっていたので、それを取ってあげた。
狼はそのことを恩に思い、それから3年間その男を送ったという話。
こんな男にも恩を返す狼もいる。
もしかしたら喰われていたかもしれない。
舟は人を送り、舟はまた人を殺す。(便利だけど危ない事もある例え)
第四 おほかみにくはるるものの事
1619年の話。
京から有馬への道、牧というところに、芝という村がある。
12歳と9歳の姉妹が、牧から芝へ、染め物を取りに行った。
蘇芳染め(すおうぞめ)の木綿を赤く染め桶に入れ、姉が抱えて帰ろうとする。
普段だったら人も多い通りであっても、12月の下旬ともなると、農作業をする人もなく、旅人も旅館に入り、
人が少ない。
そんな中、狼が出て姉が襲われてしまう。
妹は家まで走り親に助けを求め、姉の場所まで戻ったが、姉は喰われ、何も言えず死んでしまった。
第五 殺生して神罰あたる事
ある侍が夜中にトイレに行くと法師がいて、侍は肩先を切り、体にも刺した。
法師はいなくなったが、侍も苦しくなり、どうにか部屋まで戻ると、妻が驚く。
侍は血まみれになっており、死んでしまい、家系も絶えてしまった。
その後の話では、天照大神が禁じている場所で殺生をした罰を受けたのだと言う。
昔、富士の裾野でも、猪を狩った男が、山の神様のお咎めにあい、死んでしまった話がある。
コメント